運命を伴にした30名のボートピープル物語
1975年4月30日、
雨季の到来を感じさせる湿気を含んだ暑い日の朝、
ホアンは、いつものようにオートバイで家を出た。
北ベトナム軍の戦車が大統領官邸に突入、
前日就任したばかりのユン・バン・ミン大統領ら
南ベトナム政府閣僚らを拘束した。
同日午前11時30分、ミン大統領は、
ラジオとテレビを使い、戦闘の終結と無条件降伏を宣言した。
サイゴンの陥落とともに、南ベトナムは崩壊、
この日を境に、ホアンの運命は、大きく波打つことになる。
2011年、35年の時を経て、アメリカに在住する彼女が
自由と平和への祈りを込めて、静かに語り始めた。
海野優が、渾身の力を込めて描く、
戦争と希望の波間を漂着するノンフィクション。
連載予告
Ⅰ 祖国ベトナム(Voyage on Pacific Ocean by a little boat)
- 1.脱出(Experiencing the hard condition of the ocean)
- 2.漂流(Facing life and death)
- 3.救助(Rescuing by Japanese ship)
Ⅱ 赤い嵐(Leaving mother’s home land)
- 1.戦争(Witness of the changing regime in Vietnam from Capitalist to Communist)
- 2.市民(Experience living with the communist)
- 3.自由(Leaving for freedom)
Ⅲ 第二の祖国―日本
- 1.神戸(Life in Kobe)
- 2.鎌倉(Life in Kamakura)
Ⅳ 第三の祖国―アメリカ合衆国
- 1.彷徨(Experience homeless)
- 2.信仰(Life in the Presbyterian Church)
- 3.教育(Studying English)
- 4.挑戦(Stand up for study)
- 5.支援(Encourage and support by American sponsor)
- 7.卒業(Graduation of Messiah College)
Ⅵ 赤い糸
- 1.伴侶(Found the soul mate)
- 2.結婚(Getting marry to Japanese)
- 3.新しい家族(Having family)